*死というモノ*










『Welcome to the 死☆神☆界』




『おいでまっせ、ライト!』




『キラ様、ようこそいらっしゃいました』




辺り一面に見えるのは、

右に好奇心の目

左に好奇心の目

前に好奇心の目

奥に好奇心の目

・・・そしてなぜかたくさんの横断幕。










“門”の向こう側は予想通り死神界で...
リュークから少なからず話を聞いていたし、想像もしていた。
荒野のような所だろうかとか。
何処まで行っても薄暗い色合いしか広がってなく、緑なんか無いのだろうなとか。
誰も彼も醜い顔を晒して人間界を覗くかチビチビ遊ぶしか能の無い、怠惰な奴らばかりなんだろうかとか。

―それはもう色々と考えていたんだっ!僕は...

そして未知の世界に心構えもしていた。

なのに...

なのに...

・・・これは何なんだっ!


「・・・で、どういうことこれは?」


「ライト、死神界では無駄に有名だからなぁ...」


ニッコリと優しい顔で質問してやったのに...
なぜか、リュークの顔は引き攣っていた。










「ライトー!」


懐かしい声が聞こえた。
・・・何処までも一途に僕を呼ぶ声。
振り向いて目線で探したけれど、居るのは集まってきてる観衆のような死神たちだけ。
幻聴か...

自分を庇い、最後まで無言を徹して死んでいったあの子。

彼女は自分が殺したようなものだ。
実際は彼女自身が自分で死んでいったのだけれど、僕はそうする事を分かっていて僕の計画の一部とした。
彼女を止める事ができなかったことも守る事が出来なかったことも、残念だとは思っても後悔はしていない。

もしかしたら、ノートの所有者であった彼女ならここで会えるかもしれない。

そう意外にも考えたのは、彼女へ少なからずも傾けた僕の中の情か...
僕は、キラは、彼女を出来の悪いでも役に立つ駒として扱っていた。
僕は、ライトは、彼女のことを大事にしていた。
・・・『愛』してはいなかったけれど、恋人としての愛情を持っていたと思う。
しかし、彼女は僕のせいで死んだようなものだ。
もし彼女が死神界にいたとしても、僕に会いに来るだろうか...
幻聴を聞いて無駄な感傷を引きずってしまったと、頭を僅かに振り、ふと、空を見た。

遠くから僕にむかって、一直線に飛んでくるあの子がいた。

黒い羽を背中に生やしている以外は生前と変わらない。
何故そこまで、と不思議になってしまうほどに僕を一心に見つめてくる瞳も変わらない。
僕の胸に飛び込んでくる彼女は、恐ろしいほどに何も変わっていなかったのだ。


「...ラ...ト...イト...ライトー!」


・・・ミサ
僕は飛び込んできたその小さな体を無言でギュッと抱きしめた。
“門”に入る前のリュークとの再会を思い出す。
さっきとは逆に目の前にあるのは、僕より一回り以上に小さな体だけれど。

こっちに来てから、人恋しくなってしまったのだろうか?

・・・この僕が!?

僕は、何だかおかしくなってしまったのかもしれない...
デスノートが無いだけで、自分はこんなにも弱くなってしまったのだろうか...


「ウホッ!」


僕のまるで僕で無いような所作に目を丸くするリュークを横目に、僕は同じように目を丸くして固まってるミサに微笑んだ。


「やあ、ミサ...」


「ラ、ライト!?」


生きていたころ以上に甘くなっている僕にビックリしているからだろうか。
顔を赤くしてあたふたとするミサは、なんだかとても可愛かった。
それは、彼女に対する感情というより、粧裕に対する時の大事な妹へのような感情に近いようだが。
生きていたころから、自覚は無くもそうであった。
・・・第2のキラを手のひらで操る自分がいる。
・・・ミサを可愛がる僕がいる。
人一倍複雑怪奇な僕の感情は、僕自身でも今だ把握できていない...
僕とリューク、僕とミサ、僕たちの複雑な関係とそれに付随する絡み合った感情を振り返り、思わず苦笑いした。


「ライトー?」


「ん?・・・何でも無いよ、ミサ。」


とはいえ、内心何を考えていようとも、笑顔を振りまくことができる自分も健在。

―やはりデスノートがあっても無くても、自分は変わらないし変えられないらしいね。

でも...


「ずっと、ず〜っと待ってたんだよ、ライトのこと。」


甘えるようにミサは腕を組んでくる。
僕は、あえてそれを振りほどこうとは思わなかった。




一つ溜息をつき顔を上げると、リュークとミサが二人で笑い合っている。
自分の頭にリュークの大きな獣のような手がやさしく置かれた。
ミサが僕の腕に自分のをギュッと絡め直した。
自分の顔にのぼるのは、穏やかな笑みだった。










「行こうか...」


ミサが僕の左腕にぶら下ったまま軽やかに歩き出し、僕の背後を守るかのように後ろからリュークがついて来る。










・・・大王に会いに行こうか。










「なぁ、ライト・・・」


「ねぇ、ライト?」


「・・・言うなっ!」


何か言いかけるリュークとミサを僕は即行で遮った。
・・・お前たちの言いたいことは分かっている。




リュークが冷汗をかきながら見ている先...
ミサがキラキラと輝いた目で見ている先...
僕が一心に目を反らして通り抜けようとしている先...

そこには、

他のように横断幕を持った死神たちが居て、

だけど、

違うのは、

この僕を真に恐怖たらしめた文字。




ショッキングピンクのペンキで書かれた『元祖ライトたん☆ふぁんくらぶ』




毛筆で書かれたような達筆な『本家キラ様親衛隊』




そしてそれらを囲む死神たちは、他の奴らのように寄ってくるわけでも無く声をかけるでも無く、しかし統率を保ち視線だけは僕の全身に当たって非常に痛かった。




そいつらは、去っていく僕たちを―いや、・・・やっぱり『僕を』だろうね―熱い視線で無言のまま見送った。










僕は思った。










大丈夫か死神界・・・










ミサ登場。月ミサっぽく...
藤波は、リュ月ミサとか好きですvv(爆)
因みに、ふぁんくらぶと親衛隊のNo.0はリュークです。(リュークは知りません)
双方のNo.1たち幹部から勝手に認定されています。
月にバレたらリュークお仕置き決定だね。...とばっちりだけど(笑)
30/04/05 up